私は長野県上田市に住んでいます。上田は盆地で、冬はもちろん雪が降りますがそのほとんどが夜中か朝方に降り日中は快晴になる事が多い場所です。
ある冬の朝、高台にある自宅から車ででかけた時です
夜降り積もった雪が太陽の熱を浴びまるでドライアイスに水をかけた時のように一気に蒸発。
白い靄が目の前に広がっていました。その只中を突き進むように車を走らせるとその靄は一瞬で消え去り、たった今まで白一色だった空間が晴れ渡っていました。
その儚い美しさに感動した瞬間を切り取った作品「一瞬」を創作しました。
「一」の一筆で連なる山、光を放つ空気、穴の様に見える白い部分は 太陽を表現しました。普段作品を作る時は何度も書くことはあまりしないのですが、この時ばかりは太陽の穴をうまく空けることが難しく5回も書いてしまいました。
墨は古墨を使うことによって独特の滲みを使い輪郭の微妙な散り具合いを表現しています。
美しく儚い一瞬の風景
作品にすることでいつまでも心に留めておきたいとの思いが叶った作品になりました。